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コンプライアンス

企業の社会的責任

CSR(corporate social responsibility)とは

企業は社会的存在として、最低限の法令遵守や利益貢献といった責任を果たすだけではなく、市民や地域、社会の顕在的・潜在的な要請に応え、より高次の社会貢献や配慮、情報公開や対話を自主的に行うべきであるという考え。

先進国では社会が豊かになるに従い、経済的成長以外のさまざまな価値観が育まれ、企業評価の指標として、法律や制度で決められた範囲を超えて“よりよい行動”をすることを望ましいとする傾向が生まれている。そこで企業がこうした社会的要請に応えることは、社会的行動の不足や欠落が招くリスクを回避するとともに、社会的評価や信頼性の向上を通じて経済的価値を高めることができると認識されるようになってきている。

実際の活動内容はさまざまで、従来的な「関連法規の遵守やコンプライアンス」「よい製品・サービスの提供」「雇用創出・維持」「税金の納付」「メセナ活動」などを含める向きもあるが、典型的なCSR活動としては「地球環境への配慮」「適切な企業統治と情報開示」「誠実な消費者対応」「環境や個人情報保護」「ボランティア活動支援などの社会貢献」「地域社会参加などの地域貢献」「安全や健康に配慮した職場環境と従業員支援」などがある。

その普及の直接的な要因としては、株式市場や格付機関が企業評価の尺度としてCSRの視点を取り入れるようになってきていることが挙げられる。英、仏、独などでは年金の投資先評価の際に、環境・社会・倫理面の評価を法律で義務付けている。CSRの視点を取り入れた投資のあり方を「社会的責任投資(SRI:socially responsible investment)」というが、環境対策や法令遵守、企業統治などを基準に投資先を選定した投資信託商品も発売されている。

国連においては1999年に「グローバル・コンパクト」が提唱され、OECD(世界労働組合会議)の「OECD多国籍企業ガイドライン」が2000年に更新されるなど、企業のグローバルな活動に対して、より高い倫理観による規制・ガバナンスを要請する動きも急で、ISO(国際標準化機構)では2007年をめどに国際規格化が進められている。

英、仏ではCSR担当大臣が置かれているが、日本においては企業や経済団体が主導的に活動しており、日本経団連「企業行動憲章」/経済同友会「自己評価ツール」などが提示されている。日本規格協会には「CSR標準委員会」が設置され、ISOの動きに対応した形で日本規格作りが進められている


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